犬の特集記事を見る

『犬の花粉症対策とは?』 実は犬にもあるんです!

2013年02月28日

犬にも花粉症があるのをご存知ですか?花粉症というと、クシャミや鼻水、涙目に悩まされ、マスクが手放せないもの。しかし、マスクをした犬は見かけませんね。実は犬と人では、同じ花粉症でも症状やメカニズムが異なっているのです。

人と違って、犬は花粉症になってもクシャミや鼻水が止まらないといった症状があらわれることはあまりありません。スペクトラム社の調査では、アレルギー性疾患の犬のうち呼吸器症状が出るのは全体の15.2%(580例中88例、全て皮膚症状合併)という結果も出ています。

その代わり、多くの犬で皮膚に症状が出ます。これまでの研究により、犬は鼻や目ではなく、皮膚が花粉に反応してアレルギー症状が起きることがわかってきました。どうやら犬の鼻は、さまざまな物質に対して過剰反応しない機能が備わっているようなのです。たとえ、花粉症でも、犬にマスクが必要ないのはそのためです。おのずと、花粉症対策は皮膚への接触を避ける方法が中心となります。

花粉の飛散時期の有効対策は?

では、犬は花粉に対してアレルギー反応を示している場合、どのような対策が有効になるのでしょうか?花粉の飛散時期には、環境中に常にアレルゲンが存在しているような状態です。犬の体に付着した花粉をそのままにしていると飼い主にも影響が及びますので、以下のような方法で物理的に花粉を回避するように努めることがまず大切です。

散歩は花粉の多い朝の時間を避ける
             花粉の飛散は早朝が多いため、朝10時前の散歩は避けます。
             花粉が多く舞う日は、午前中いっぱい見合わせると安心。

ウエアを着て散歩に出る
             外出時はウエアを着せ、物理的に花粉から守ってあげます。
             ナイロン地など比較的花粉を通しにくい化学繊維素材のコート・タイプがお勧めです。
             海外には、全身をすっぽり覆う専用のボディー・スーツがあるほど。

散歩ルートを見直す
             反応しやすい犬は地面に落下した花粉でも容易に症状が出てしまいます。
             地面に近いところを歩き、草むらにも入っていくことを考え、
             草木の多い公園は避けるなど、散歩ルートの変更を考えましょう。

帰宅時に花粉を落とす
             外から帰ったら玄関先で花粉を落とし、家の中に花粉を持ち込まないようにします。
             犬の体を払うだけでなく、着せたウエアもしっかりはたきます。

部屋の空気清浄をする
             空気清浄機などを導入し、室内に侵入した花粉をできるだけ排除します。

「ドライワイプ」をまめにする
             花粉の除去に、吸塵性・多孔性の不織布はとても有効。
             ブラッシングと違って花粉が舞い散りません。
             市販の使い捨て床拭き用シートなどを使って、毎日犬の体を乾拭きします。
             まずお腹周りなど毛のない部分を、次に毛のある部分を拭きます。
             ※Point①参照

シャンプーの回数を増やす
             ていねいにシャンプーに行って皮膚を清潔に保ち、花粉をまめに落とすようにしましょう。
             ただしシャンプーのしすぎは逆効果です。多くても週2回までとしましょう。
             ※Point②参照

「ドライワイプ」を実践しよう

散歩など外から帰ってきたときには、動物の体を床拭き用シートなどで乾拭きして花粉を落とすドライワイプが大変有効です。花粉が被毛を分け入って皮膚へと侵入する前に除去できる方法であり、簡単手軽でとても効果的。飼い主さんの花粉対策にもなりますから、ぜひ実践していただきたいと思います。


ドライワイプのメリット

  • 毎日できる毎日何回しても、シャンプーと違って皮膚を痛めることがないので安心。
  • 花粉が皮膚と接触する機会を減らせる毛に付着した花粉が皮膚につく前に除去できます。
  • 花粉を除去できる確実性が高いシャンプーは毛に付着した花粉を皮膚へ流してしまったり、
    洗い流しが不十分で花粉が皮膚に付着したままの場合があります。
    ドライワイプはその点、確実性が高いです。
  • 経済的不織布は洗って乾かせば何回か使えて経済的。
    また、市販の使い捨て床拭き用シートなら安価で購入できます。
  • 愛犬とのコミュニケーションになる犬にとっては気持ちいいドライワイプは、きっと愛犬に喜ばれます。
    毎日続けると症状の変化に気づきやすくもなります。
  • 適切なシャンプー療法と併用できる

被毛に付着した花粉はもちろん、花粉は皮膚から侵入しますので、皮膚までていねいにケアしてあげることが大切です。ただしやり過ぎは禁物。週1~2回を目安に、以下のポイントを押さえてシャンプーしてあげましょう。



シャンプー剤は体に直接つけず、スポンジでよく泡立ててから、
泡を全身にすり込むようにつけます。

★薬浴用シャンプーの場合
泡をつけたまま、濡れタオルで体をくるんで10分間(最低でも5分間)、
薬液が皮膚に染みこむまでそのまま待ちます。

ぬるま湯(人肌以下。33~34℃)でよくすすぎます。
犬の指の間も、シャンプー剤が残らないよう1本1本ていねいにすすぎましょう。

吸水性のよいスポンジタオルが便利
※コットン・アレルギーがなければコットン・タオルもOK

アレルギーの交差反応にも注意

皮膚が反応する犬の「花粉症」を説明するなら、「花粉をアレルゲンとするアレルギー性皮膚疾患」となります。そういう犬は花粉に限らず、他のさまざまなアレルゲンにも反応してしまっているケースがほとんどです。と言うのも、アレルギー症状は単体ではなく複数のアレルゲンによって引き起こされるものだからです。花粉だけに注目せず、幅広くアレルギー対策を取る必要があるでしょう。

アレルギー性皮膚疾患・難治性皮膚疾患を専門とする獣医師の荒井延明先生は、花粉などによるアレルギー性皮膚疾患をふたつの側面から考える必要があると言います。

『アレルギー性反応が起こるメカニズムは免疫バランスの問題として究明されつつありますが、最近は皮膚バリアの問題も重視されるようになりました。』

まず免疫バランスについて。これは、IgEと呼ばれる免疫抗体と深く関わりがあります。IgE抗体が特定のアレルゲンに反応すると、その結果として炎症物質が放出され、炎症や浮腫などアレルギー特有の症状が出てしまいます。そこで、どのアレルゲンに反応しているか、IgE検査(血液検査)で見当をつけやすくします。検査で可能性の高いアレルゲンを絞り込み、それをもとに獣医師が判断し、食事や環境を調整したり、あるいは減感作療法という免疫療法を行います。

『アレルギーを確定判断できるテストは、今はまだありません。92種という多数のアレルゲンを調べるIgE検査でさえ、どのアレルゲンに反応しやすくなっているか探ることはできても、複合的な状況まで分析はできないのが現状です』と荒井先生は言います。どれでも92種を網羅するIgE検査は、かなり綿密な結果を出せるテストとして、現在4000病院以上における治療・指導に貢献しているそうです。さて、ここで気をつけたいのは、アレルゲンの「交差反応」です。特性の似ているアレルゲンにも反応してしまう現象で、ブタクサ花粉のアレルギーがあるとキュウリやメロンなど、スギ花粉のアレルギーがあるとトマトにもアレルギーを起こしてしまうというケースがあります。

スキンケア対策や体内環境の調整も重要

さらに、今重視されているのが「皮膚バリア」の問題です。皮膚細胞を埋めているセラミドという脂質が少なくなると、その隙間から花粉などのアレルゲンが皮膚侵入しやすくなることがわかっています。そのためセラミドを増やすスキンケアをすることが推奨されているのです。セラミドは、体外から保湿ローションとして、あるいは体内からサプリメントとして摂取できます。セラミドが増えれば、膿皮症のもとになる雑菌の侵入も防げるので、愛犬に皮膚トラブルのある人は、ぜひ獣医師に相談してスキンケア対策を講じてみてください。

そのほか、体の内側からアレルギーい強い体をつくることも大切です。中でも乳酸菌は、花粉症に良いとされています。乳酸菌というとヨーグルトを思い浮かべますが、サプリメントで与えた方が乳酸菌を腸内へしっかり届けることができ、花粉症の緩和に役立つと言われています。これは、「プロバイオティクス」と呼ばれる、人間医療では日本がもっとも研究が進んでいる分野。味噌や納豆、ぬか漬けの食文化がある日本、うなずけます。また、亜鉛の補充も大切です。

『犬は人よりもずっと多くの亜鉛を必要とします。意外と知られていませんが、炎症性または脱毛性の皮膚疾患には重要な栄養素なんですよ』と荒井先生。亜鉛が欠乏すると次のような症状が起こります。皮膚トラブルと関係が深く、アレルギー性皮膚炎の症状にも大きく影響します。

・紅斑、脱毛、圧迫点の痂皮形成、鱗屑
・体の開口部付近の化膿
・かゆみ
・被毛粗剛および過剰な皮脂
・続発性細菌感染/マラセチア感染
・角化亢進、過剰色素沈着

花粉症対策として有用な乳酸菌、亜鉛ですが、もちろん過剰摂取は弊害のもと。サプリメントを摂取する際は、ぜひ獣医師に相談しましょう。

(文/大田仁美 イラスト/安藤香子)

取材協力:
荒井延明
スペクトラムラボジャパンテクニカル・ディレクター、獣医師。
日本児童文学協会会員。元札幌総合動物病院・北郷病院。
元ペットフードメーカー専任獣医師を経て、現スぺクトラムラボジャパンTD。
日本獣医師生命科学大学院研究生。獣医療関連の著書も多数。




【関連記事・人気記事】
犬のガンを取り巻く新たな変化(2012/4/20)
ページトップへ
誠文堂新光社 愛犬の友ブリーダーズサイト愛犬セレクトストアプードルチワワダックスフンド コカねっと!
トップページ サイトマップ お問い合わせ 運営元 プライバシー&ポリシー 退会手続き